“ファクト”に違和感

報道の現場でいう「ファクト」とは、一次情報のことだ。
現場で直接見聞きした証言、調査者が自ら集めたオリジナルデータなど、検証可能で、責任の所在が明確な情報を指す。

一方ネットでは、「この情報のファクトは合ってる/間違ってる」と断じる投稿をよく目にするが、その多くが、新聞やテレビの記事の引用、週刊誌の切り取り、インフルエンサーの受け売りに過ぎない。

情報に対して、“どこを、誰を、信じるか”は個人の自由だ。だが、その信頼を根拠に「ファクト」を名乗った瞬間、それは一次ではなく二次・三次の情報になる

つまり“伝言”だ。

インフルエンサーからの受け売りに至っては三次、四次になり、こうなっては、伝言ゲームで一次情報の形すらなくなってることすらある。

日常会話で毎回ソースを付けろとは言わない。

けれど、ネット上で相手を攻撃しながら「そのファクトは違う」「間違いを拡散するな」と言うなら、最低限の作法として根拠を示すべきだ。
これがない断罪は、ただの印象論でしかない。

もっと厳密に言えば、ファクトは“絶対的な事実”ではない

一次情報ですら嘘や誇張、測定ミスは起こり得るし、オリジナルデータにも設計の欠陥やバイアスが潜む。

だからこそ、私たちが扱う「事実」は常に“暫定的な事実”に過ぎず、信頼という合意のもとで成り立つファクトでしかない
(今オールドメディアがその信頼が揺らいでいるのは、また別の議論だが…)

Xは自由に意見を言える場だが、ファクトの定義ぐらい認識して発言するのか、中途半端な知識で、ファクトがどうだとかで、相手を攻撃しない方がいい。

そうでないと、投稿者自身の信頼が揺らいでしまい、発言そのものの信頼がなくなるのではないか。
つまり、全く社会にとって意味のない戯言を、デジタルに埋め込んでいるだけになるかと思う。

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この記事を書いた人

井上 大輔のアバター 井上 大輔 映像ディレクター

TBSビジョン→テレビ朝日→NHK→株式会社草莽映像•代表/テレビ歴18年/『クロ現』『Nスペ』『世界遺産』『夢の扉+』など制作/YouTube“経営者ドキュメンタリー”『野望家たち』

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