テレビの制作現場にいた18年間。
数え切れないほどの人にカメラを向けてきて、僕の中で確信していることがある。
取材したくなる人、つまり映像に残したくなるほどの「人間の魅力」がある人には、ある共通点がある。
それは「一見オーラがなく、相手をまったく緊張させない」ということだ。
世間一般では、すごい功績を上げた人や権力を持つ人は、近寄りがたいオーラを放っていると思われがちだ。
確かに、大きな組織のトップや既得権益の上にふんぞり返っている人たちの中には、相手を威圧して「自分は特別だぞ」とマウントをとってくる人もいる。
しかし、カメラ越しに彼らを見ていると、なんだかとても薄っぺらく感じてしまう。
肩書きという鎧で自分を大きく見せているだけで、人間としての底が見えてしまうというか…。
一方、本当の意味での「ホンモノ」は、その凄まじいオーラを、まるでスイッチを切るように自在に消すことができる。
僕は、敬意を込めて「ホンモノ」と呼んでいる。
どんなにすごい経歴を持っていても、取材する側の僕らや若いスタッフが緊張しないように、カメラが回る直前に冗談を言ってくれる。
相手に一切気を遣わせず、スッと自然に懐に入ってきてくれるのだ。
そういうリラックスした空気感から、本当にいい表情や言葉が引き出される。
相手に緊張を強いたり、変な気を遣わせたりするのは、実は自信のなさの裏返し。
社会の理不尽なパワーゲームの中で威張っているだけの人は、冷たいようだけど「小物」に過ぎない。
大切なのは、小手先のテクニックや肩書きじゃない。
ありのままの自分で相手と向き合い、安心感を与えられる器の大きさだ。
僕は、映像ディレクターとしてそんな人間同士の嘘のない繋がりから生まれる、「人間の熱量」をこれからも撮り続けたいと思っている。




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